特定外国信託とタックスヘイブン対策税制

平成19年度税制改正により「特定外国信託の留保金額の益金算入(措置法66条の6⑦⑧)」が定められました。
 措置法66条の6はいわゆるタックスヘイブン対策税制で、改正前までは受益者にとって分配時まで課税が繰延されていた外国信託ですが、課税の公平性・中立性を欠く恐れがあるため、実質基準により特定投資信託とみなされれば留保金課税が行われる可能性があります。

 ここで対象となる外国投資信託とは投資信託及び投資法人に関する法律第2条第22項に規定する外国投資信託のうち第68条の3の3第1項に規定する特定投資信託に類するものをいうとなっています(同法66条の6⑦)。

 今まで受益者が特定できない投資信託の運用益は形式的に委託者(ファンド運用者)が財産を有するものとみなして(形式基準が採用されて)受益者には課税がされていませんでした。しかし、今回の新信託法の施行により受益者が特定できていない場合又は存在していない場合であっても、受益者としての権利を現に有する者並びに信託の変更権限及び信託財産の給付を受ける権利を有する者(法人税法12条②)が課税対象者とされました(実質基準の採用)。

 たとえば、ケイマン、BVI(英国ヴァージン諸島、バハマなどのタックスヘイブン国にトラスト(信託)を組成し、世界各国の株式や債券などの金融商品に投資している場合、もし、その信託が特定投資信託としてみなされた場合には留保金課税適用の対象となる可能性があります。
 
 従って、特定投資信託に該当するかどうかをファンド運用業者から資料(決算書や出資者名簿など)を入手し検討して、その後タックスヘイブン対策税制の形式要件を検討する必要があります。思わぬところで課税されては運用率が下がり適正な投資とは言えなくなりますし、上場企業でも知らないと追徴税額が発生し、会計監査上問題になりますので注意が必要です。doordollar moneybag

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外国税額控除の限度額

 外国税額控除の限度額について少し考えてみたいと思います。

 外国税額控除限度額の計算式は次の通りです。

 「法人税」 X 「国外所得」 ÷ 「全世界所得」

 政策的な限度額(全世界所得X90%又は全世界所得X国外使用人割合)が存在しますが、一般的には上記算式が限度額となることが多いと思われます。

 国税当局の外国税額控除に関する税務調査の主たる目的は上記算式の「国外所得」を減少させることにあると考えられます。

 つまり、国外所得を減らせば限度額が減少するため、控除できる税金は少なくなるというものです。

 たとえば、国外所得であっても、現地の税法または租税条約で非課税とされる所得は、その3分の2を国外所得から控除する必要があります。

 国際課税部門の税務調査官が調査にきた場合、まずは国外所得を減少させるような処理ミスがないかどうか一生懸命調査すると推測されますので、税務申告時にはその点十分留意して申告書を作成することが大事かと思います。
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香港出張

 12月16日深夜着、18日朝帰りで香港出張してきました。実質1日の海外での仕事です。

 クリスマスのため多くの人で賑わう街は活気にあふれていました。しかし、日本人は少なくなったような・・

 2008年は北京オリンピック開催の年でもあり、アジアを代表する中国が注目を集める年になりそうです。

 そのような中、香港も金融センターや貿易の拠点として上海と並んで成長していくと思います。

「Lippo Centreビルと中国銀行本店ビル」
Lippo_centre_buildingBank

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クウェート 法人税15%に

 今日の日経新聞夕刊からですが、中近東クウェートの法人税率が55%から15%に引き下げられるということです。
 クウェートといえば、フセイン政権下のイラクが武力行使して攻め込んで湾岸戦争まで発展したことで有名な国ですが、日本にはあまりなじみがありません。

 私は商社勤務時代に出張で訪れたことがありますが、砂漠の町でホコリにまみれて仕事をしていました。

 税率が15%になるとタックスヘイブン対策税制のアミにかかってしまいますが、クウェートで何か事業をしようという日本人は少ないかもしれません。クウェートは金融立国を目指しているとのことですが、石油がなくなってしまうという事実があるため、お隣のUAE(アラブ首長国連邦)やバーレーンと競争することになります。

 UAEで課税対象となっているのは外国銀行支店、ホテル、宅配会社、石油・ガス・石油化学会社のみとのこと(JETROサイト参照)です。

 中近東の小国はバーレーン、UAE,クウェートの3国ですが金融の世界でグローバルに競い合うことになる日も近いかもしれません。

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中国新企業所得税法とタックスヘイブン対策税制

 中国は2008年1月1日より「新企業所得税法」を施行する予定です。 ここで問題なのは、基本税率が25%に下がったことです。(但し、中小企業20%、ハイテク企業15%)

 税率が25%に下がることで日本のタックスヘイブン対策税制の「アミ」=「税率25%以下はタックスヘイブン」にかかってしまい、毎年日本で税務申告する際に租税回避目的の投資でないことを判定する必要がでてきます。

 日本企業が租税回避目的で中国に会社を設立することはおそらく無いと思われますので、タックスヘイブン対策税制を適用されて合算課税されることはないと思われます。ただ、中国における純粋持株会社(外国投資性公司)は「事業基準」を満たさないので注意が必要です。また、保税区における外資貿易商社も実態はペーパーカンパニーであり、管理及び支配は日本から出張して行っているケースがほとんどだと思われますので、タックスヘイブン対策税制のアミにかかる可能性があります。

 すでに国税局と係争中案件である香港子会社の華南地区における来料加工貿易(材料無償支給による委託加工貿易)についても、タックスヘイブン対策税制の「アミ」がかけられていますが、本来中国進出は「租税回避」が目的ではないはずです。日本企業のグローバルな経済合理的な活動を妨げることのないはずの税制が、日本企業を苦しめている状態になっているのは、すでに日本のタックスヘイブン対策税制がグローバルな経済活動に追いついていないことを物語っていると思います。

 シンガポールや香港(さらに税率は1%下がる予定)など、アジアの先進国は我先にと税率を下げてアメリカやEU諸国からの投資促進活動を行っています。アジア諸国の経済的リーダーたる日本における税制が日本企業のグローバル化を後押しできないようでは、今後日本が少子高齢化で人口減少していくなかでサバイバルすることはかなり難しいと言わざるをえないでしょう。今後の税制改正が望まれるところです。

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日豪租税条約改正交渉基本合意

 日豪租税条約に関する改正交渉が基本合意に達しました。

 配当、利子、使用料(ロイヤリティ)に関する源泉徴収税率が大幅に引き下げられました。

「配当」
親子会社間:現行15% 改正後 免税(持株割合80%以上)又は5%(同10%以上)
その他:現行15% 改正後 10% (REIT等からの配当は15%)

「利子」
現行10% 改正後 免税(金融機関、政府機関等)、10%(その他)

「使用料」
現行10% 改正後 5%

 条約乱用を防止する措置を導入するのは今までの日米、日英と同様です。
 日本から豪州への投資が活発になることが予想されますので、日本にとってはとても意義のある改正で
今後、両政府内で諸手続きを終えた後署名が行われ確定する予定です。

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HSBC,東京・大阪でマス富裕層向けサービス開始

The Nikkei Weekly(9月10日版)からですが、HSBCが東京・大阪の2地域で来年2008年1月よりマス富裕層向けのサービスを拡大するとのこと。

約1000万人の団塊世代をターゲットに、富裕層を囲い込む予定らしく、資産総額1000万円以上が対象とのことです。資産総額1000万円以上の対象者は、東京・大阪の2地域で630万人になるらしいです。

HSBCは資産総額3億円以上の超富裕層のみを顧客としてプライベートバンキング業務を日本で展開していましたが、今年から退職が本格化する団塊世代が顧客となりうる環境変化のなか、リテール分野での業務拡大を目指しているようです。

HSBCが展開するリテール分野のサービスはどのようなものになるのか、日本のメガバンクとの戦いはどうなるのか、段階世代の資産争奪戦が始まるようです。
http://www.hsbc.co.jp/jp/japanese/

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大手2商社移転価格税制で追徴課税

今日の日経新聞夕刊からですが、三菱商事と三井物産が移転価格税制を巡り
80億円超の申告漏れを指摘されたとのことです。

昨年の夏にこのブログでも取り上げましたが、オーストラリアでの液化天然ガス(LNG)事業に
おける親会社(日本本社)から合弁会社(豪州現地会社)に対する情報提供や経営指導に関して、
合弁会社が親会社に支払う対価が妥当でないと国税局から認定された模様です。

つまり、親会社(日本本社)はLNG事業参加に必要な研究開発や情報収集作業を行って
目に見えないノウハウを事業参入前から持っていたと考えると、そのノウハウ(無形固定資産)を
オーストラリアの合弁会社に安価に提供したことで移転価格税制の適用があったものと考えられます。

「サービスの流れ」
三菱商事・三井物産本社  ⇒ 蓄積されたノウハウの提供 ⇒ オーストラリア合弁会社
「お金の流れ」
オーストラリア合弁会社 ⇒ 低い価額での対価支払い ⇒三菱商事・三井物産本社
「結果」
オーストラリア合弁会社は独立企業間価格と実際の支払対価との差額を日本本社に
支払うべき、つまり、日本本社で収入もっと計上して日本で税金を払うべきとの考え方です。

今回は2001年3月期分に区切って追徴課税したようですが、01年以降分に関してはまだ結論は
出ていないとのことです。

無形固定資産に関する移転価格税制の適用はその適用範囲が明確でないため
当局は「移転価格税制の適用に当たっての参考事例集」 のなかで事例を取り上げて
詳細な説明を行っています。しかし、実務の世界ではその事例だけでは処理できないケースも多々
あるため、海外取引を行う企業にとって移転価格税制のリスクが高まっていく傾向にあることは
間違いありません。
Goldcoast
「オーストラリア・ゴールドコースト」

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平成19年度タックスヘイブン対策税制改正点

平成19年度税制改正の要綱(平成19年1月19日閣議決定)によりますと、http://www.mof.go.jp/seifuan19/zei001_a1.htm
タックスヘイブン対策税制にかんして次の2点の改正が予定されています。

(1)外国子会社合算税制の適用を受ける内国法人等及び合算対象となる海外子会社の判定について、議決権(剰余金の配当等に関するものに限る。)の異なる株式又は請求権の異なる株式を発行している場合には、株式の数の割合、議決権の数の割合又は請求権に基づき分配される剰余金の配当等の金額の割合のいずれか多い割合で行う。

(2)外国子会社合算税制の適用除外を受けるために必要な書類等の保存がない限り、適用除外が認められないことを明確にする。

(1)は昨年5月からの新会社法施行により色々な株式が発行されることになったことによる改正です。株式の数、議決権の数、配当金額の割合のうち、いずれか多い割合を用いて海外子会社の判定をすることになります。種類株式を利用した適用逃れにフタをした形になります。

(2)は適用除外について納税者に適用除外の立証責任を負わせたもので責任転換をしています。必要書類の保存がないと適用除外を認められなくなります。

経済のグローバル化に伴い毎年厳しくなるタックスヘイブン対策税制ですが、ここまで改正されてまだ抜け道を考える人が出てくるかどうか、イタチゴッコは続くようです。

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移転価格税制適用の基準を明確化

 日経新聞11/17掲載記事からですが、企業と国税当局との間で見解の相違により当局からの更正決定が頻繁に行われている移転価格税制に関する適用基準を政府税調が明確化する方針とのことです。2007年度改正で議論される予定。

 2005年事務年度(2005年7月~2006年6月)における追徴課税は100件を突破、前年度から45%増加し、申告漏れ総額は2800億円とのこと。

 移転価格税制において問題となるのは独立企業間価格の算定です。
国税当局が認めているのは次の4つの方法です。

原則: 
1)独立価格比準法(CUP法)

2)再販売価格基準法(RP法)

3)原価基準法(CP法)

4)取引単位営業利益法(TNMM法) TNMM=Transactional Net Margin Method

 最近は特許権やノウハウなどの無形固定資産に関しても移転価格税制が適用されていますので、独立企業間価格算定方法に関して、企業側はどう対応して良いのか大変難しい状況になっています。

 これらの状況を鑑みて政府も明確な基準を定めないと企業と国税当局の間で訴訟問題が多発すると懸念したものと思われます。

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